夕暮れの通勤電車で。

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おい、さっきまで元気に走っていたじゃないか。 少年から子猫を受け取ると、急死した原因を探る。 もちろん、診察する器具なんて何もないから正確なところまではわからないが、1つ言えるのは、子猫は死んでから数時間経過しているということだった。 「なんでだ……」 ただ似ていただけ?いや、そんなことはない。 動物に興味がない奴には同じに見えるかもしれないが、俺は見間違えないなんかしない。 「おじさん、ミー太は?」 「あ、ああ。ごめんな、ボウズ。……俺は動物のお医者さんだけど、ミー太は助けられないよ」 「なんで!?お医者さんなんでしょ?助けてよ!!ミー太を治してよ!!」 「ごめんな……ミー太はもう助からないんだ」 少年はしばらく大声で怒鳴り散らした後、子猫の亡骸を抱きしめて泣いた。 泣いた。 泣いた。
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