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「じゃあね、おじさん」
「ああ、ちゃんと墓参りして、ちゃんと勉強するんだぞ」
「うん!!バイバイ!!」
走り去って行く後姿を見送ってから、桜の木をもう一度眺めた。
ああ、ミー太、ごめんな。
すっかり忘れてしまったりして。
どうして忘れてしまっていたんだろう。あの日、こんなにも強くまっすぐに誓ったはずだったのに。
ほんとにごめんな……。
◇◇◇◇◇
「お客さん、終点ですよ。降りて下さいね」
「んっ……」
はっと目を覚ますと、いつもの電車のいつもの車内にいて、そこは俺が降りるべき駅の二つ先の駅名だった。
駅のホームは夕方のラッシュで少し混み合ってる。
俺は駅員の姿を見つけると、慌てて駆け寄った。
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