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きらきらと光が溢れ、まぶしくて目を開けていられない。すると、園邑が上から覗き込むよう
にして御崎の顔に日陰をつくった。逆光の中で園邑の顔が暗くぼやけ、はっきりとした輪郭さ
えもたない。
「優斗、もっと顔、よく見せてよ。久しぶりじゃないか」
夢の中で御崎が呟くと、園邑がそれに答えた。
「本当は忘れたいんだろ、僕の事」
「そんな事言うなよ。俺は、ずっとお前の事だけを想ってきたんだ」
「僕が死んだら、僕たちはただの幼なじみに戻るだけ。ただそれだけの関係なんだ。恭ちゃ
んはそれを望んでるんだろ」
「違う。そんな事望んでない。何でそんな事言うんだよ。優斗。行くな、優斗」
御崎の声は園邑には届かない。光の彼方に消えていく園邑を追いかけるが、御崎は追いつけ
ない。
「優斗ーー」
そう叫ぶ自分の声で、御崎は目を覚ました。腕の中では桐野が寝息をたてていた。園邑にそ
っくりな顔をして。
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