第1章

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筋肉が緊張していく。  だがそれも始めのうちだけだった。オイルの上を滑る手のひらの感触が心地良い。そしてマ ッサージされる事で見つかる新たなこりを、その手が確実に捕らえる。こりの場所と程度に合 わせて、押され、さすられ、揉み込まれる。何も言わなくても来て欲しいところに来てくれる 巧妙な手技に、瀬野は知らぬ間に体をあずけていた。  施術によって血行が促されたのだろうか。体温の上昇を感じて、瀬野はいつしか眠りに落ち ていた。
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