プリンちゃん VS タコさん

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「来たよー。  今夜はパーリーだろ。何か手伝うこと・・・」 タコさんは、差し入れのために持ってきたビニール袋を落とすと、 たくさんの缶ビールと缶チューハイがコロコロと床に転がった。 「待ってたわ。」 プリンちゃんは、手に包丁を持ったまま振り返った。 「そ、その後ろにある熱々の鉄板は・・・ま、まさか・・・」 タコさんは、信じられないというような表情でプリンちゃんを見つめる。 「あなたに会うたびに、あなたのその肉厚な体が愛しくて・・・。  ゴメンナサイ。私もうガマンできないのよ!!」 プリンちゃんが悲壮な表情で体を左右に振ると、艶やかな体がプルプルと震えた。 「わ、分かった。そこまで俺のことを愛してくれていたなんて。  冷静に話し合おう。な!!  じ、じゃあ、今回はこの八番目の足で手を打たないか。  これでも刻めば、結構焼けるだろ。」 タコさんは、自分の自慢の足を一本プリンちゃんに差し出した。 「・・・それでは全然足りないわ。」 悲しそうに体を左右に振ると、茶色いカルメラがプリンちゃんの体に汗となって流れ落ちる。 「じゃあ、七番目と八番目でどうだい。」 タコさんは、自分の手足を愛しそうに見つめる。 「沢山お客様が見えるの。今夜はタコ焼きぱーりーなのよ!!」 プリンちゃんは、涙を流しながらタコさんをじっと見据えている。 その眼には、既に狂気を宿し始めていた。 「ええい、大盤振る舞いで足4本!」 「まだまだ!!」 「うーん、赤字覚悟で足6本!  もこれ以上負けらねーよ、お嬢ちゃん。」 「もう一声。」 「しょうがねーお嬢ちゃんに根負けだ。  全部もってけドロボー!!」 タコさんは、もうどうにでもなれと言わんばかりに叫んだ瞬間、 ハタと我に帰った。 《思わず乗せられて妙な事を口走ってしまった。  まずい、このままでは向こうの思うタコつぼだ。  しからば・・・・必殺技!!》 「タコスミ、ブッシャーーー!!」 タコさんは、大量の墨をプリンチャンめがけて口から発射し、 すかさず玄関から脱出しようとした。
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