カブトムシ

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 朝の九時半。  会社勤めじゃない僕は、そろそろ仕事に本腰を入れようか、と書斎に入りながら考える。  ワン・ワン・ワン・ワン。カズノスケの吠える声がやかましい。誰か来たのだろうか。  仕事に向けて助走をしていた最中に、水を差す客だ、と、やや不満を抱いて玄関へ行く。  それに、玄関ドアのベルを、やたらと鳴らす客なのだ。 「わかりました、いまゆきまさす!」  と言ってドアを開けると、手をつないだ男の子と女の子がそこにいて、 「カブトムシあげる」  と立っている。
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