1人が本棚に入れています
本棚に追加
俺はゼロ戦乗りだ。
明日ゆく同士の周りは、《愛する。お母様へ》などと手紙を認めている。
俺は書かない。
俺の母親は、俺が三歳の時、この目に針を差し込もうとした女だ。その時の傷が、いまも疼いている。俺はこのことを仲間に告げたこともない。
医者嫌いの俺が、一度だけ眼科医に自分の目を診察させてやった。
「この傷はどうしたのかね?」
と医者は尋ねてきた。
いくら医者嫌いの俺でも、こちらの方がよっぽど母親らしい、と感じたことを思い出す。頑固なのだろうが、それでも俺は医者嫌いを続けた。
最初のコメントを投稿しよう!