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時代は戦争下にあったが、俺たちも担ぎ出されるようになった。
その全国民総出の体制でも、俺は自分の本当の貢献はできなかった。
もちろん目の傷のためだ。この大変な時ですら、俺はつまはじきの有様だった。
ある日、鬱々と悩みながら書物を読んでいた。
俺の視野は、下方の部分だけはなんとか正常に機能していたのだが、その狭い健全な視野を工面して読む書物に耽ることが俺のせめてもの救いだったのだが、そこを上官に見つかってしたたか打擲を受けた。俺は、
「不徳の至りは認めます。しかし目だけは打たないでください」
と、懇願した。
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