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上官はその理由を訊いてくれた。
上官は不思議な申し出を聞くような顔を示したが、《この男、どこか理由があるな》、と感じ取ったらしい。その時、長年患った目の傷について打ち明けた。
長年の黙秘を打ち明けることは、自分に罪の意識を強烈に感じてしまうものであった。上官は、実の父親のように俺の話を訊いてくれた。こんなに悠長な時勢ではないことはないことは承知していた。それゆえに自分の罪の意識は加速してゆくのだが、自分のこころにも傷を抱えていることを、この上官は見出してくれた。上官は腕を組み、どうやら俺の処遇を考えるようだった。
「今からでも遅くはない。その目の治療をしろ。おまえの心理の傷も同時に治癒されるはずだ」
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