『ジャッカロープ』

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 帰りの運転は、佳親に頼んでみるか。 「あっちで、酒を飲んでいないかな」  もう酒が入ってしまったか。すると、将嗣も酒を飲んでしまっているか。  俺は木から飛び降りると、下でモモウサを受け取った。 「重い!」  横で名護も手を貸してくれた。 「あの余計な事かもしれませんが、そこで祖父母の方が話しをしたいそうですが」  見ると、確かに祖父母がこちらを伺っていた。 「どうしました?」  俺が走り寄ると、祖父が何か言い掛けていた。 「爺ちゃんどうしたの?婆ちゃん」  もう本橋さんと呼ぶと泣くので、爺さん、婆さんにしてしまった。 「えええ、婆ちゃん」  婆ちゃんもまずかったのであろうか。又、少し泣かれてしまった。 「本橋さん……」 「いいえ、爺ちゃん、婆ちゃんです!」  どう呼んだらいいのだ。 「爺ちゃんは、相澤さんがお疲れのようなので、運転を代わりたいのです」  佳親にも将嗣にも、酒が入ってしまったので頼めない。それは、ありがたいと思う。  でもそうすると、誰かがマイクロバスに移動しなくてはならない。 「あ、俺達が移動してやるよ。帰りは寝て帰るから。崖登り、面白かった」  倉吉が珍しく渋る征響を説得していた。俺と、祖父母を一緒に過ごさせたいらしい。 「ありがとうございます」  相澤を眠ったまま家に帰せる。 第四章 ジャッカロープ  帰りに又住職の所に行き、モモウサを見せていると、住職は崖への入口の場所が分からなくなってしまったので、教えて欲しいと言った。 「いいですよ。モモウサも送りたいし」  希子達は、まだ墓にいるという。でも、森を抜けようと木に登ると、住職はその道は無理と断った。 「最近は、こういう男の子もいなくなったよね。木が通路っていうのはね、久し振り」  久し振りということは、前例がいたのか。  重いモモウサは名護が黙って担いでいた。どうしてなのか、モモウサは名護の背で、目を細めて眠っていた。モモウサは、かなり、気持ち良さそうで、俺と居た時の目を見開いて驚いてばかりだったモモウサと比較してしまう。 「車で行くよ」  歩いても遠くはない。でも、仕方なく車に乗ると、先ほど、轢かれそうになった道路の手前で止めた。 「ここの草むらを抜けて、この木の下あたりですよ」  モモウサは、名護から飛び降りると、木の下に消えた。 「穴、あれ?」  名護も探しているが、穴が見えなくなってしまった。
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