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結局、布団を出してしまい、二人で転がってしまった。
藤原の手が俺の肌に直に触れては、離れる。俺は胸があるわけではないので、触られても関係ないかと思っていたが、それにキスが加わっただけで全く別物になった。
「藤原……ストップ」
藤原が、俺を見つめている。その眼差しの優しさに、もう少し頑張ろうかとも思うが、又、すぐにギブアップする。
「由幸……も……ダメ」
キスして抱き合っているだけなのだが、藤原の手が背に回り、太ももに触れる。それだけで、頭が真っ白になり、心臓の音だけ聞こえていた。心臓のバクバクだけが、聞こえている。
「……弘武、すごい可愛い」
藤原の目が、俺の全身を見ようとするので、顔を背けて逃げる。
「俺の天狗、きれいで可愛くて強い」
藤原の手が、俺の背を抱えると更に下を目指してゆく。もう俺は全裸で、隠すものも何も無かった。でも、やはり、本番はナシだ。
「由幸!」
「分かっているって、ちょっと見るだけ」
何を見ようとしているのか。俺が、暫し考えてから、顔から火が出そうなくらいに慌ててしまった。
藤原の手が、しっかり俺の尻を掴んでいた。
「そこは、見るな!」
自分でも見た事がないのに、藤原に見られてたまるか。
「少しだけ……」
そこが見たいという考えが理解できない。俺は、藤原を突き飛ばすと、服を手に取った。
「ごめん、そんなに怒るなって」
「由幸!女性にそんな事はしたことないだろ?」
藤原は、天井を見て考えてから、何度も頷いていた。
「本当だ。女性には嫌われるのが怖くて、いい男を演じているよね。弘武だと、俺のだって確認したくなる」
藤原は、納得して笑っていた。
「まあ、そこは俺のだって言いたい。誰にも触れさせていないか、確認したくなる。不思議だ。女性には、そんな事を考えた事もなかった」
藤原も服を着こむと、再び俺を捕まえにきた。
「大丈夫、こうして傍にいるだけで、満足しているのも本当だから」
一緒に布団に転がると、今度は、藤原はキスしかしなかった。
「相澤さんって、刑事だろ。なんか、色々と相談に乗ってくれてさ、アドバイスもくれる。俺は家業がヤクザだから、刑事と話せるなんて考えていなかったよ」
そもそも、天狗という役目も、相澤のような存在であった。四区の相談にのり、アドバイスをする。
「頭もいいみたいよ。成績優秀だから」
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