自分ではないもう一人のわたしの世界

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額に何かを感じ、目を開けると、そこには出て行った筈の母親の姿があった。 「あ、おはよう。熱はだいぶ下がったみたいね。」 ああ、だから額に手を。 いや、それよりも自分には聞きたいことが幾つかあった。 「母さん、帰ってきたの?」 「アンタ何言ってんの?母さんはずっと家にいたじゃない。今日はどこにも行ってないわよ?」 「え、じゃあ父さんは?竜太と来斗は?ジイちゃん、死んでないよね?」 「父さんはまだ仕事よ。竜と来だって、まだ学校にいるわよ?それにジイちゃんだって、さっきまで外で近所の子供たちと鬼ごっこして遊んで帰ってきたわよ。まだ遊び足りないからって、来の縄跳び持ってまた外に出て行っちゃったわ。」 アンタもう一回寝た方がいいんじゃない?と言いながら、部屋のドアを開け、此方に振り向く。 「なにか用があったら、メールちょうだいね。母さん下にいるから。」 バタンとドアが閉まり、静寂が部屋を包む。 あれは夢だったのだろうか、だとしたら、とても嫌な夢だと自分は思った。あんなことが、現実では起きてほしくないとも思った。
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