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「私が我慢できないの。
弘武君が一人前になってしまうまで、もう残された時間は少ないでしょう。
それまで、毎日でも、一秒でも多く、成長を見ていたいの」
俺は、これから成長できるのか。あんまり、身長は伸びないかと思う。
「弘武君のお母さんがね、手紙を残していたの。
弘武を一人きりにしていて、誘拐されて、見つからなくて地獄だったと。
だから、子供は手元から離してはダメだってね」
母は、希子宛てに手紙を残していたのか。
「弘武君、写真もあってね。弘武君が見つかった時、背中も腹も怪我だらけで、
お母さんは涙が止まらなかったそうよ。
私も、弘武君の顔が綺麗だったから気が付かなかった」
俺が怪我の跡だらけというのは、ここにいる天狗のメンバーは見慣れている。
着替えでも風呂でも、特に隠してはいない。
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