第六章 ジャッカロープ 三

21/22
前へ
/152ページ
次へ
 眠りたいと部屋に戻ると、春留は既に眠っていた。  携帯電話を見ると、ホーから、どうにかなったとの連絡があった。 ホーも無事でよかった。  畳に布団を敷くと、転がってみた。 やはり、人体実験は間違っている。  でも、俺も本来は生まれない、佳親と季子の子供であった。 「母さん……」  春留が寄ってくると、俺の隣で止まった。 春留は、何から生まれたのであろう。 春留の孤独も、果てしない。 「春留、ジョッピングセンターで、おいしいキャベルを買ってくるね」  春留もよく活躍してくれた。  人の遺伝子を持つ生き物、それは、本当に生存しているのは三体であるのか。 春留の知らないどこかに、まだ生存しているのではないのか。
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!

158人が本棚に入れています
本棚に追加