第一章 岩陰と森と山

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「マイクロバスでは、もうムリでしょう。観光バスですよね」  小さな寺であるので、観光バスは駐車できるだろうか。事前に確認が必要だ。 「……俺も行こうか?」  又、増えるのかと思ってから、考え直した。 「相澤さん、車を出してくれるのですか?」 「そう。嫌か?」  相澤も、俺が行かないと駄々をこねるのを心配しているのだろう。 皆、善意であって、悪意ではない。でも、行き過ぎるとやはり悪なのだ。 「ありがとうございます。一緒に名護もいいですか?」  名護だけ、あのバスに乗せるわけにはいかない。 「ふうん……名護でいいのか。印貢は、名護を母に紹介したいの?」  俺は首を振る。 藤原は父親の将嗣がマイクロバスに乗るので、お目付け役もあるだろう。 こっちと行きたいと言えば、相澤に藤原も一緒にと頼む。
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