彼方の夢

5/9
前へ
/11ページ
次へ
 自習中、僅かに開いていた窓から入ってきた涼しいような肌寒いような冷たい風が肌に当たる。俺にとってはまだそこまで寒いわけではなかったが、近くの席の女子が寒そうに両腕を摩っていたので閉めてやることに。  窓が閉められたことに気付いたその女子がちらりと俺を見ては笑って口パクで「ありがとう」と言っていたのが分かり、嬉しくも照れ臭いという気持ちが勝り、返事は言わずにはにかむ程度にしておく。  ああ、何か、こういうちょっとしたやり取りにドキッとするとか、何か青春してる! みたいな気がして、それもまた少し照れる。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加