彼方の夢

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「宮尾くん、辛そうだね?」 「そういうお前は随分余裕そうだな佐波」 「私、陸上部だからね。走るのは好きなんだ」  いつの間にか右隣りからやって来て並走してる佐波と話しながら走る。ちくしょう、陸上部とかこういうとき狡いよな。苦しみながらマラソンしてる連中を横目に、走るときのペース配分を考えて余裕持って走ってるんだから。おまけにこんなふうに話す余裕も残して。 「あ、宮尾くん。そこに石あるから気をつけて」 「え?」  言われて足元を見たときには既に遅く、石に躓き、前に倒れ込む寸前だった。 「宮尾くん!」  ああくそ、女子の前でこけるとか俺かっこ悪すぎて恥ずかしい。そんなことを思いながら俺は地面に手をついた。
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