第1章 *社畜の成れの果て*

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古びたラブホと怪しげな占いの館に挟まれたビル。 そこには 【 lyuksCafe 24H 】と書かれた控えめな看板が下がっていた。 「とりあえず……入ってみるか」 ************** ビビーッ!!!! 店内に入るや否や駅の自動改札のようなものに威嚇されてしまった。 「なんだよこれっ!」 カフェなのか!?駅なのか!? 俺があたふたしていると、ひとりの外国人男性が寄ってきた。 改札(?)の向こうから手を振っている。 「初めてのお客サマはネ、会員証作らなきゃだめネ」 少しぎこちない日本語を話すこの男性はどうやらこの店の従業員のようだ。 「怖がる必要ないネ ココは比較的お値段高めだからガラの悪い連中も来ないヨ!」 「そ、そうですか」 会員証をつくり、改札らしきものに恐る恐るかざすと、軽快な音と共にゲートが開いた。 「それで、お部屋のタイプはどうすル?」 フロントカウンターのようなところで問われた。 「うーんと……!?お部屋!?」 ここ、カフェだよな!? 最近のカフェは個室タイプなのかよ!田舎の社畜はびっくりだぜ…… 「ウンウン!ここネットカフェだからネ」 外人店員は熊のような髭を弄りながら笑う。 「は!?ネカフェ?」 間抜けな声が出た。 カフェはカフェでも……ネットカフェですか……! 「漫画も読み放題!他にも色々サービス充実してるカラ! ごゆっくりしてってくだサイ」 勢いよく白いカードを渡された。 「なんですかこれ」
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