美しき夜

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「ねえレン」 「ん?なに」 「月がさあ~おっきいね~」 「ああ……そうだなあ……」 ボクとミカは町外れ、いや森のさらに外れにある崖の上に来ていた。 夜、寝っ転がって見上げてみれば、満点の星と、ことさら大きな月が僕らを見下ろしている。 「キレイ……だよな?」 「そう……涙が出ちゃうくらいにね」 自然を美しいと思うのは人間だけの感覚らしい。それでも……ああ……その夜はどこまでも美しく広がっていた。 「なあミカ……ボクら出会ってどのくらいだっけ?」 足元に続くのは、どこまでも真っ暗な大地。明かりといえば遠く眼下に見える湖に反射した、月明かりくらいのものだ。空には満点の星、大地は漆黒のセカイ、この対比はボクを不安にさせるのに十分だった。 「ひと月くらいは経ってる??」 「二週間と2日よ」 「え?あ、ああ……まだそんなものか」 「ええ……ずいぶんと……長かった……」 楽しい時間は早くすぎるという。逆に辛い時間は長く感じる。 ボクはミカのことが好きだ。ミカに出会えて良かったと思っている。 それでも……この二週間は果てしなく長く感じていた。
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