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 当然だが、此処おくりものは、至って普通の駄菓子屋さんだ。だから、駄菓子を買いに来るのは子供、それも女の子だけとは限らないのだ。少年、青年は勿論のこと、童心に帰りたくなった僕のような紳士淑女も……。 「おにぃちゃーん、私ぃ、ヤングじゃないドーナツも食べてみたいなぁ」  見た目は五十代後半、ぜい肉たっぷりのレスラーばりの体格をしたご婦人がやって来た。彼女は、暇あらば毎度この店に足を運び、沢山駄菓子を買ってかれるいわゆる常連だ。毎度二、三千円の出費をしていくのだから、彼女のお陰でこの店が潤っていると言っても、あながち嘘ではない。  そんな彼女からの突然の言葉。なんか、前にも聞いたことあるような気がするのだが、どこか新鮮に感じるのは、言っている人間がまるで違うからだろうか。  良知の方を見ると、美しい微笑を浮かべながら、一枚の紙を持ち上げた。そこに書いてある文字は。  ”パン屋へGO”。  ご婦人はそれを受け取って読むと、満面の笑みで駄菓子を買い、その後此処より斜め向かいにあるパン屋さんへと足を運んだ。自身の店だけでなく、他店への出費も増やすとは。イケメン恐るべし。  ……ところで、それが分かっていたなら、みさきちゃんの時もパン屋さんへ買ってくれば良かったんじゃと思ったのは僕だけだろうか?
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