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「やったぁー! 当たったよー!!」  みさきちゃん、みゆきちゃん、ちあきちゃんが抱き合って喜ぶ。  当たったと言っても、アイスが一個貰えるだけなんだけど。子供って、純粋だよな。 「はい。じゃあこれアイスな」  良知は女の子達の可愛さに悶絶寸前のところを必死に堪えながら、アイスをみさきちゃんへと手渡す。しかし、その瞬間残りの女の子がみさきちゃんを冷たい視線で見つめる。 「みさき、そのアイス一円多く出したの私だよね?」 「え、そ、そうだっけ……?」 「そうだよー! 何で忘れるのー!? ね、だからそれちあきのだよね?」  何だか気まずい雰囲気。女の争いは怖いからなー。……なんて、昔付き合っていた彼女が、違う男と手をつないでいた時のことを思い出しつつ、僕はアイスを舐める。 「何言ってんの!? それより、私ジュース二人にプレゼントしたよね!? 一番お金出したの私だよ! フツー私が貰うと思う!!」  と、みゆきちゃん。成程、そうなると権利はみゆきちゃんに……。 「ふ、二人とも酷いよぉ! 今日私の誕生日なのにぃ……当たりくらいくれても良いじゃん……」  おや。今日が誕生日なのかみさきちゃん。お誕生日おめでとう。  しかし、こうなると三つ巴。三人共意地を張って言い争うばかりだった。僕はそれを子供らしいなぁと気楽に見つめていたが、良知が泣きそうな目で僕に訴えかける。どうにかこの場を収めてほしいらしい。  とは言っても、僕も彼女達の気持ちが分からないでも無い。きっと、彼女達はアイスが欲しいと言うより、当たったと言う事実が欲しいのだろう。だって、みゆきちゃんとちあきちゃんに至っては、アイス一回食べてるし。  どうしようかと考えながらアイスを舐めていると、舌先がザラッとし始めた。そうか、もう食べきったのか。ふとアイスの棒を見つめると、案外あっさりと”当たり”の文字が。 「あ」  思わず僕が声を出すと、三人の女の子が僕の方を見る。  ……そうだな、この場を丸く収めるにはとりあえず一つプレゼントしておこう。 「これ、おじさん当たったけど、おじさんもうアイス食べられないんだ。いるかい?」  みゆきちゃんとちあきちゃんにあげると残された方が不憫だろう。一旦、みさきちゃんにプレゼントする。  すると偉いことに、みさきちゃんはみゆきちゃんとちあきちゃんに、そのアイスの棒をプレゼントした。
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