2人が本棚に入れています
本棚に追加
良知から、突然聞かされた事実。それは、あの駄菓子屋さん、おくりものが無くなってしまうと言うこと。
理由は、あの場所に新たな店舗を強引に立てようとしている店があるから。だとのこと。何だその店は! などと言ってやりたいが、実はこれが……僕の幼馴染の店だったのだ。店舗拡大するとは言っていたが、まさかあの場所に作ろうとしていただなんて。この事実は、僕の胸を鋭く抉った。
翌日、何時もの店の扉に、近日閉店すると貼り紙があった。これを見た僕は勿論、僕の視線の先にいた、子供達もどうしてとどよめき立つ。
みさきちゃんは良知の下へ駆け寄って、良知の手を握った。良知は顔を赤くしたものの、みさきちゃん達が来た理由を察して表情をすぐに整える。
「おにーちゃん! どうしてお店止めちゃうの!?」
「……すまんな。どうやらそう言う風に、俺の前の代の時から決まっていたらしい」
始めに、幼馴染の会社は幼馴染が営んでいると言っていたが、彼はその会社の二代目だ。つまり、一代目、お父様がいらっしゃる。きっと、その頃からの約束だったのだろう。
「やだよ! 私達、毎日ここ来て、おにーちゃんに会いに来たいよ!!」
「俺はこの二件隣の家にいるから」
「そういう問題じゃないの!!」
出た、秘儀そういう問題じゃないの!! この秘儀は良知によく効き、そしてよく傷つく。
「みんな! ここが続くように、反対の書面を書こう!!」
『しょめん?』
幼稚園児や、低学年の子供達は首を傾げた。駄菓子屋に毎日足を運ぶみさきちゃんは、意外と賢いのだ。
「この店を取らないでって意見を紙に書くの! そして、お店を取ろうとしている人達に渡すんだよ」
子供達は成程と頷くと、その場でノートをちぎり、”おくりものとるのはんたい!!”と書きだした。
「みんな……」
あまりに必死な子供達の姿に、良知は言葉を失う。
そりゃあそうだろう。彼等のことを殆ど知らない僕だってびっくりしていたくらいだ。この子達の、成長ぶりに。
その後、みさきちゃんが近所を駆け回ったお陰で、沢山の子供達、そして大人までもが集まって反対の書面を書きだした。みさきちゃんがそれを一枚一枚見て、枚数を数える。
「九十八、九十九……百!!」
最初のコメントを投稿しよう!