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三年前。東京の大学在学中に、文芸サークル「惑星会」に入ったのが全ての始まりだった。
二十代から三十代の学生や社会人計十数人が、作家デビューを目指して活動していた。十年に及ぶ歴史の割に華やかな功績もなく、意気込みだけが立派な集まりだった。だが、それが魅力的だった。凡人のおれでも、このサークルに所属しているだけで、いつか才能に目覚める気がしたのだ。大きな惑星のように、五千光年の宇宙を背に、たくさんの人に知られる存在になれる気がしたのだ。
気付けば就職先もないまま、大学を卒業していた。同年代のサークルの仲間たちはいつの間にかいなくなって、おれは宇宙ゴミのようにあてもなく日々を漂っていた。
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