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「何か用か?」
「……胸、
直していった方がいいぞ」
痕が残ってると指差されて。
真っ赤になった博雅が慌てて前を掻き合せる。
「……人の顔を使って――ばか!」
ケダモノ!と言い放って博雅が帰って行く。
晴明が無言でその背中を見送った。
「……式はお前の望み通りにしたかっただけなのに」
後ろから春花の声がした。
「お前が悪い。
晴明」
分ってる、
と晴明が肩を落とした。
「可哀そうにな……花はもう色褪せはじめてる」
満開の金木犀の枝から、
花がほろりと落ちた。
了
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