第2章

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「晴明」 立てられた几帳から覗き込めば、 文机に向かった晴明が難しい顔をして紙になにやら書き付けている最中。 「おう、 ちょっと待て」 顔を上げずに返事をして、 しばらく考えた後また筆をとる。 何をしている?と博雅が手元を覗き込んだ。 「関白殿の方違(かたたが)えの計算さ。 どうしても西方に行きたいらしい」 西?と飲み込めない顔をする博雅に晴明がにやりと笑う。 「新しく通う女性が出来たのさ」 ふうん、 と興味なげに博雅が返事をして、 ふと思い出す。 「……春花の様子がおかしくないか?」 晴明の手が一瞬止まった。
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