第2章

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「そう……か?あいつはいつもヘンだが」 何かあったのかな、 と思わし気に博雅の眉が寄せられる。 それを横目でちらりと見て晴明が立ち上がった。 「ちょっと関白の屋敷に行って来る」 あ、 と博雅が慌てた顔になった。 「忙しいのなら出直してくる」 立ち上がろうとした博雅を晴明が押し留めた。 「ややこしい説明があるから直接行かねばならないが、 すぐ戻るから。 急ぐ用がないのなら待っていてくれ」 いい酒があるからと言われ、 笑った博雅が座り直した。 晴明が出て行くのと入れ替わりに、 薫が酒を運んでくる。 隣りに座って酌をしようとするのを、 晴明を待つからと断った。 そのまま母屋の隅に控えられて 、 博雅が落ち着かない顔になる。
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