第2章

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「……薫――あの、 下がって良い」 言ってはみたが晴明の命しか聞かないものか、 薫は動く気配がない。 ほかの式なら気にしたことなどないのに……なぜ薫ばかりがこうも意識されるのか。 気まずい沈黙に耐えられなくなった博雅が、 庭でも見ていようと立ち上がる。 御簾にかけた手の上に??ひやりと指を重ねられて。 はっと振り向けばすぐ後ろに立つ、 薫の姿。 「――っ」 冷たい指を額にあてられてくらりと眩暈がした。 振り払おうとした手を逆に掴まれて、 そこから凍み込んでくる冷気に腕が痺れた。 足の力が抜ける。 床にかくりと膝がつき、 手をつく。 ……その腕にも、 もはや力は入らない。 崩れる体を支えられずに肩口から倒れこんだ。 霞む視界に薫の顔が被さってきた。
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