第3章

2/8
前へ
/23ページ
次へ
ひたり、 と。 博雅の頬に指が触れる。 氷のような指が首筋に滑り、 頚動脈の上で止まった。 指の後を追うように這ってきた唇が、 とくりと打つ命の流れを確かめるかのように脈に捺しあてられた。 「かお……止め……」 力なく首を振る博雅の頤を捉えて。 薄く笑みを刷いた唇が博雅のそれに重なってきた。 唇を割って入り込んでくる舌。 息を奪うかのように侵入し蠢いてくる肉塊が、 次第に熱を帯びてくる。 送り込まれてくる蜜のように甘い唾液が博雅の顎を伝った。 首上の緒を解かれ小袖の胸元に掌が滑り込む。 直に肌に触れられて悪寒に身体が震えた。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加