第3章

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広縁で倒れている博雅の姿に、 慌てて階を駆け上がった足が止まる。 「……薫?」 博雅の上で身を屈めていた薫がゆっくりと立ち上がる。 振り向いたその顔は??博雅と瓜二つ。 一気に五つ六つ年を取った薫が、 典雅な笑みを浮かべて晴明に歩み寄ってくる。 「おまえ……?」 その腕を首に回されて、 薫の背丈も自分と同じくらいになっていることに気づいた。 晴明の背中がぞわりと波立つ。 ……ただの石でさえ神にもなるものを……。 春花の言葉が脳裏に甦る。 自分が……薫を変えてしまったのか?変わる力を薫に与えてしまったのか? 薫の唇が晴明のそれを求めて寄せられた。
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