第3章

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「この間はずいぶん偉そうな事を言っていたが、 あれはウソか?」 怒り頂点を感じさせる剣呑な目で問い詰められる。 お前と同じ顔だから……とは言えず。 晴明の視線が泳いだ。 「今すぐその式を還せ」 有無を言わせぬ口調で博雅が命じる。 小さく吐息を落とした晴明が口の中で呪を唱えた。 背後でばらりと花が散った。 「二度と薫は呼び出さぬと約束しろ」 常にない博雅の剣幕に、 晴明が驚いた顔になる。 「約束しろ、 晴明。 でないとここへは二度と来ぬ」 「……分かった。 約束する」 殊勝な言葉を返す晴明をひとつ睨みつけると、 博雅はくるりと背を向けて階を降りはじめた。 「あ、 おい待て!」 追いすがってその肩にかけた手を払われて。
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