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が、不意に後ろから引っ張られる感覚を覚え、引っ張られたその方向へ首を向ける
「あ、あ、あぁあの!えとた、助けてくれてありがとうございました!」
俺を引き止めたのは、少し背の低い獣人の女の子。先程助けた子だ。
「気にするな。ただの気まぐれだ。じゃ俺はこれで」
そうそうに話を切り上げ俺はその場を立ち去るため歩き出す。
「ま、待ってください!」
と、それを許してくれない獣人ちゃん。
いやあの。首が苦しいんですけど
自分の行動がよほど恥ずかしいのか顔を真っ赤にしてしどろもどろとしている
「何かな?用がなければ俺は行きたいんだが」
「あ、すいません…じゃなくて!何か、何かお礼をさせてください!なんでもします!」
工エエェェ(´д`)ェェエエ工
いやそういうのいらないんだけど。まぁ展開は読めてたけどさ
「俺は礼が欲しくてやったわけじゃないから。じゃ」
「待ってください!お願いします!私の気が済まないんです!」
必死に食い下がる獣人ちゃん。
俺の背中に必死に捕まり見上げる視線は、潤んでいる。
べ、別に上目遣いに萌えたとかそんなことはないし。
いやはや、しかし参った。今まで女の子助けてきてお礼言われたことなんてなかったからこれは少し困ったぞ
なんせ、何も望むことがないからな
それに、これはマジで一つでもお願いしなきゃ離してくれないやつだ。
「あ、じゃあ、ここから一番近いギルドを教えてくれないか?」
そうだ。まずはギルド。身分登録にもなると門番が教えてくれたからな。
「ふぇ?そ、そんなことでいいんですか?」
「あぁ、それで十分だ」
獣人ちゃんも予想外の返答にキョトンとした顔のまま動かない。
「はっ!で、でしたら私が案内します!」
いや、教えてもらうだけでいいんだけど
一人で行くし
「君、体相当ボロボロだろ?俺は1人で行くから教えてくれればいい」
「お願いです!行かせてください!」
しつけぇぇぇえええ!
くっそ!綺麗な角度で頭まで下げやがって!断れねぇじゃねぇか!
と、心でしこたま叫びながらも
「そこまで言うんなら、頼んだ」
と、表では爽やかかつスマートに
これぞビジネスマン精神
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