Episode1、リオン・グローシア

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結局押しに負け、俺は今獣人ちゃんと2人でギルドまでの道を歩いている。 と、獣人ちゃんはさっきよりも一層たどたどしく俺に尋ねる 「あ、あの……な、なな名前!そう!名前を教えて!」 随分と唐突な自己紹介を求められ俺も少し困惑した 「人の名前を聞くならまず自分から名乗るべきだろう?」 はっ!た、確かに……っと真面目に受け止め失礼しましたと一礼する獣人ちゃん。 「私はミリア。ミリア・コーラルです。先程は助けていただいてありがとうございました」 そこでまたお礼いうの?もういいよ 「よろしくミリア。俺は翔だ、よろしくな」 俺も手短に自己紹介を済ませ、少しスローになっていた歩行ペースをあげる。 「あ、それと、一々頭下げたりとかしなくていいし、タメ口でいいから」 「え?あの、でも」 そんなこと言われるとは思っていなかったのだろうか。 ミリアの表情からは明らかな困惑が伺える。 「一々頭下げられるのは俺がやらせたみたいになるからよしてくれ。タメ口は堅いのがあまり好きじゃないからだ」 懇切丁寧に説明も付け加えた俺は相当優しい 嘘です大嘘です 「……わ、わかったよ~じゃ~普通に話すね~?」 ほう。そっちが素か。 さっきまでのぴったりと張り付くような服従姿勢とは打って変わって、のほほんとしたマイペースな雰囲気に変わる。 大方、さっきのデブ貴族様がこの態度と口調を強制させていたのだろう 「んじゃ、改めてよろしくミリア」 「うん~よろしくね~ソラ~!」 言葉一つ一つ聞く度に脱力感を覚えるが、気にすることでもない。 「あ、ここがそのギルドだよ~」 ほーなになに? ギルド~深紅の牙狼~ なんと厨二臭いんだ…… 四の五の行ってられんな。入らなければ話が進まん。 俺は扉に手をかけ中へ入る。 「ようこそ。我らがギルド、深紅の牙狼へ」 まるで某ハンターアクションゲームに出てくるような酒場を彷彿とさせる内装は、細かなところにまで清掃が行き渡り、清潔感に溢れていた。 なかなかいい場所だと俺はそう思った 「ギルドの登録をしに来たんだが」 「あら?ギルド登録希望ね?待ってました!なら、この紙に必要事項を記入してちょうだい」 紙には、 名前: 性別: 年齢: 魔力量: 属性: スタイル: と、書かれている。
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