術なし

4/21
前へ
/24ページ
次へ
また捕まらないようにとドアの方へ向かえば 「蒼」 大好きな人の自分を呼ぶ声に 振り返らずにはいられない 足を止めて首だけ慎吾の方へ向ければ 「おはよう蒼」 寝起きの浮腫んだ顔に満面の笑み 真っ黒な髪がカーテンの隙間から漏れる陽を浴びて 鈍く光る ほぼ毎日繰り返されるやりとり いい加減慣れろよと自分でも思うのに いつも涙が出そうなほど幸せな気分になる ー今日も最高な日だ 始まったばかりの一日をそう思ってしまうほど 俺にとってかけがえのない時間
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加