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そのリハビリの際、○○公民館へのイレギュラーな道順をたどり直していた。
あの傷口に塩を塗り込められるように見せつけられた、あの威圧。道端のナントカ病院の女看護師たちの「出迎え」には、驚くというよりも、ぼくがいまの時代に重要な人物として成り上がっているのだな、という感慨の方が、印象的なのだった。
彼女らが「出迎えて」くれて、さて、なにを言いたかったのか。
直感では、
《E**病院に不穏な波風を立てないでくれ》
という思いであった。
《そんなの嘘だ》
と、ぼくは判断した。
「涙は女の最大の武器だ、というしね」
とつぶやいてやった。相手にしなかった。
すぐさま、いつものぼくの車尾にピターッとくっつけて走るクルマを、ルーム・ミラーで確認すると、またぼくは、
「せっかく来たんだ、よろしく頼むよ」
といった。
するとそのクルマは影を隠した。
このつぶやきといままでの事象とは関連がある。ぼくはすでに意味を見出しているのだ。人間に偶然なんてない。そこになにがしかの意味を見出したことは、そこで偶然とは呼ばれず、必然となってゆくのだ。
そういう定理のような話がある。
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