第二話

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「どうした? 大丈夫? 」 聞き覚えのある声。 この声はみーちゃんだ。 顔をあげると、心配そうに聞くみーちゃんがいた。 時間が戻ったんだ。 あの日と同じ場所。 あの日と同じセリフ。 「ごめん、大丈夫! ちょっと靴紐がほどけちゃった。 ありがとう! 」 私はあの日を再現することにした。 あの日と同じように実際にほどけている靴紐を結ぶ。 「おっけ! よし、じゃあ第二ラウンドといくよ! 捕まえてみなっ! 」 あの日と同じように、笑いながら後ろを振り向いて走るみーちゃん。 滅多に車が通らない横断歩道。 彼女に迫る車。 運転手は慌ててブレーキを踏んだ。 『車は急には止まれない』 あの日と同じように全てスローモーションのように映る。 これは全てあの日の再現。 唯一違うところは、あの日はみーちゃんを助けて私が犠牲になった。 今日は私が見捨ててみーちゃんが犠牲になる。 ゴトンッ、と手に持っていたスクバが落ちる。 いくら憎んでいた相手だからといって、轢かれるところを見たいと思うほど、歪んではいない。 私は思わず目を閉じた。 その瞬間、走馬灯のようにたくさんのみーちゃんとの思い出が頭を過った。 みーちゃんとの出会い。 中学校の修学旅行。 高校受験に向けて。 お昼ご飯。 電信柱鬼ごっこ、などなど。 そしてその思い出はどれも、みーちゃんの最高の笑顔があった。 やっぱり見捨てることなんて、私には出来なかった。 彼女の服を思いっきり引っ張った。 その反動で私が前に出る。 車が近づいてくる。 「みーちゃん。 ありがとう、そしてバイバイ。 大好きだよ」 キキーッ!! ドンッ!!! その後、私が目覚めることは二度と無かった。
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