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「そーゆーとこだよ、タローさん。それは傲りってもんだ。だからこそ人を追い詰めている自覚もない。」
「そんな、そんなはずはない!証拠だってどこにもないだろう!」
言ったあとでハッとした。
誰もがわかっている。
何よりも揺るぎない証拠を。
「ここにいること、そのことが証拠だ。」
「ごごご、ごめんなさい、玲子さん!・・・殺すつもりなんてなかったんだ・・・。」
タナカは震え、青い顔で涙を流しながら許しを乞いた。
するとタナカの磔台はガタンと音を立てた。
「うわ!な、なんだ!」
急に磔台は切り刻まれたかのように細かく崩れた。
タナカの紐は解け、木片と共に海へと落下した。
「うわーーーーー!」
その叫び声は段々と小さくなり、やがて海に着水した音とともに消え去った。
「ど、どうなっているのこれ・・・。」
「自分の罪を認め、懺悔した者から楽にしてもらえるってことじゃないか?」
「どっちにしろ死ななくちゃいけないんだね。このまま放置されて死ぬか、今すぐ死ぬか。なら僕は早く死んで来世に期待するよ。僕の欲望のために殺しちゃった人達、ごめんね。」
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