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目を開けると、そこには濃霧に覆われた景色があった。 その霧は自分の手足を確認できない程濃く、何かおぞましい化物に体中を侵食されてしまうような錯覚に陥られる。 どこなんだ、ここは・・・。 この場所に至るまでの経緯を全く覚えていない。 とりあえず手足の感覚はある。 最悪の事態では無さそうだ。 しかし、まずい状況ではある。 手足は縄で縛られ身動きが取れない。 両手を広げているポーズだ。 どうやらは俺は、「磔」にされているらしい。 「どうなっているんだ・・・?」 昨日の夜はアルバイト終わりにコンビニへ寄って、それから、それから・・・。 記憶が曖昧なことのみならず、磔にされている事実もあって俺は今までにないほど混乱していた。 しかし不思議なものだ。 ここまで混乱すると人は逆に冷静になれるものなんだな。 何も考えらない、と言ったほうが正しいのだろうか。 落ち着いて状況を整理しよう。 早く温かいところへ行きたい。 今は冬場でもないのにここは恐ろしく冷え込んでおり、少し息苦しかった。 ということは恐らくここは標高の高いところに位置している? 山の中、なのか・・・?
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