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「・・・お前、馬鹿だろ。」
「な、何よ!初対面の相手にそれは失礼なんじゃない!?」
「顔が見えてないから対面してないけどな。」
少し期待していた俺は彼女に対して皮肉の言葉しか浮かばなかった。
「うるさい!いいから説明しなさいよ、はりつけって何!?」
「耳が痛くなるから少し静かにしてくれ。この状況で体力をこれ以上消費したくないんだ。磔っていうのは手足を柱のようなものに縛られることだ。俺は身体が十字架になるように縛られているんだが、お前はどうだ?」
「そう、私も同じように縛られてるわ。なんなのよこの状況!」
この女は混乱すると喚き散らすらしい。
自然といえば自然な行動かもしれない。
「騒ぐな。俺にもこの状況が理解できていないんだ。いつ開放されるかもわからない。お前は静かにして体力は温存しておけ。」
「随分と冷静なのね。それとお前って呼ばないでくれる!?気に食わないんだけど。」
こんな状況なのに、この女はどうでもいいことに突っかかる。
「・・・なんて呼べばいい?」
「そうねぇ?、アゲハとでも呼んで?あなたは?」
「アゲハ?ふざけているのか?俺は、タロー。」
「・・・あなたこそふざけているじゃない。」
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