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「僕は耳がいいんだ。1人1人の吐息が聞こえる。それが男なのか女なのか、起きているのか寝ているのか。わかっちゃうんだよね。」 それが本当だとしたら何者なんだ、この男は。 「じゃあ聞くが、ここには何人が磔にされている?」 「7人。アゲハさん以外はみんな男だ。」 「ちっ、余計なこといいやがったな餓鬼が!」 荒々しく言い放ったのは低い男の声だった。 「あとの3人はまだ起きていません。」 「あんたの名前は?」 「スドウだ。」 苛立っている割には案外あっさりと答えた。 あるいは偽名だから、か? 「ったくどーなってんだこりゃ。いてーぞ。」 「あんたの記憶はどこまである?」 「・・・銀行を襲って、金奪った後で相棒を撃ち殺した所までだ。」 重大なことをとてもあっさりと答えた。 「ひ、ひひひ、人殺しーー!」 「うるせーぞ女、黙ってろ。」 もう何があっても俺はあまり驚かなくなっていた。 心なしか霧が少し晴れ、人の姿がぼんやりと見えるようになってきた。 それから数十分後ーー。 残りの3人のうち2人が目を覚まして事情を聞いたがやはりみな同じようなものだった。
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