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それは俺が目を覚ましてからおよそ一時間後のことだった。
視界が晴れることは望んでいたことだが、それが結果的に良いことにはならなかった。
心のどこかで信じていた希望。
助かるというほんの少しの希望。
それは視界を遮っていた霧と共に消え去った。
そして押し寄せるのは、絶望。
この景色を見た誰もがそれを感じていた。
「嘘、でしょ・・・。」
「流石にこれは、驚かずにいられないな。」
「ふっ、ざけんじゃねーぞ!なんだこれ!」
俺たちが磔にされていた場所。
それは遥か上空。
7人は雲の上にいた。
「すごいね。僕も流石に股のほうがヒヤっとしてきたや。」
ハヤテは冷静に話してはいるが表情が強張り少し震えていた。
7人はこの高さで少ししか揺れを感じさせないほど太く頑丈な磔台に縛られており、視界に入るのは海のみ。
一切の陸地も確認することはできなかった。
「あ、あの!最後の方、まだ意識ありませんよ!?生きてますかね!?」
田中は震えながらも、残りの1人の状態を必死に訴えた。
「・・・呼吸が薄れている。生きてはいるけど、もうそろ逝っちゃうね。」
最後の1人はハヤテの言っていた通り太めの男性だった。
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