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私はぐっと下唇を噛んだ。
その様子を見て彼は黙り込んでしまった。
彼は髪を荒れたように掻き分け、消えるようなため息をつく。
「……ごめん。
俺は……こういうことが言いたいんじゃなくて…」
「一緒に住んでるなら、悪いから…」
…気づいたら、言葉は口をついて出ていた。
言ったらだめだってわかってるのに。
わかってるのに、止められない。
「……美桜さんに会うのは…まだ、辛いなって…」
「……」
「私、邪魔だから…。
私だったら、彼が何とも思っていない女の子でも、家に泊まらせるのは嫌だもん。
美桜さんだって、嫌な思いするだろうし……ね?」
楢崎くんの目を見ることができなくて、作り笑顔で笑ってみせた。
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