第3章 だいじなもの

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いつの間にか、たった一年で今日という一日しか思い出すことがなくなってしまったのだ。 同級生の母と生まれたばかりの子が亡くなった。 友人の一家は全壊で全滅だった。 高速道路は倒れ、道路はぐちゃぐちゃだった。 自分が経験した事は記憶として、 身体に埋め込まれながら、 単なる思い出として処理されている。 忘れてはいけないと思いつつ、どこかで忘れようとしている この記憶の処理を 毎年この一日で無限ループするのだ。
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