第2章 記憶

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私たちはまず家から徒歩2・3分の小学校へ避難することにした。 いや、家があった場所から徒歩で2・3分で行く事ができた、と訂正しておこう。 この足でこの道を行くのに、覚えている限り数十分以上かかったと思う。 ご近所さんも学校から少し離れた同級生も、学校の先生も みんな小さな学校にひしめきあっていた。 何となくみんな校庭の中心に、いや既に崩壊している校舎に地割れが目立つ校庭を避ければ自然とそうなるのも仕方ない。 学校や地域の人達で取り出せるブルーシートや新聞、毛布、ごみ袋が校庭に敷き詰められ、知らない人達がまるで家族のように、まるで宗教団体やストライキに参加するがごとく肩を寄せ震え合っていた。 私たちもその団体に加わった。 いくら小さな私でも、いくら少し人見知りでも 私はその中に加わらなければいけない と思う何かがそこにはあった。 父は持っていた毛布を私たちに掛けてくれた。 遅れながら祖父母と祖父の従妹がやってきた。 祖父の従妹は偶然にも地方から昨晩遊びにやってきていた。 幼い頭でも「運が悪い」と思ってしまう。
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