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数学の授業の最後には大抵小テストがある。解答時間は五分程度で、前回や今回の授業内容をおさらいするのが目的らしい。
その数学の授業終了を告げるチャイムが鳴って、一番後ろの席の私はいつものように前の人達のテストを回収するために立ち上がった。
順に回収していって、前から二番目の席のテストを取ろうとした時だった。
「あ、」
小さく聞こえた声に少し振り向いた私と、竹原日向くんの目が合った。
「それ、ケガ?」
竹原くんはそう言いながら、眼鏡の奥の目を私の手元に向けた。それで私も思い出した。
「ああ……、少し深く切りすぎちゃって」
昨日左手の中指を深爪してしまい、何かする時煩わしいからと絆創膏を貼ったのだ。
「地味に痛いね」
僅かに顔を顰める竹原くんに軽く笑ってみせた。
「うーん、でもすぐ伸びると思う。楽してるから」
回収したテストを先生のところへ持って行きながら、
(……どうして気付いたんだろ)
ふと小さな疑問が浮かんだ。
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