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放課後。
下駄箱で靴を履き替える竹原くんを見掛けた。
「竹原くん」
「……小宮」
振り向いた竹原くんは、一瞬驚いた顔をしたように見えた。
並んで外に出ると、陽はもう暮れかけている。秋の夕暮れの金色や、赤や黄色に色付く葉っぱを目にすると、何となく感傷的な気分になってくるのは何故だろう。
そんなことを考えていた頭に、不意にまたさっきの疑問が湧いてきた。
「ねえ竹原くん。どうしてさっき深爪に気付いたの?」
左手を見せながら訊くと、竹原くんは「ああ」と事もなげに言った。
「綺麗な手だからいつも何となく目に入ってた」
「……」
さらっと放たれた言葉に、私の思考が一瞬止まった。
……何か今、普通の男子高校生が言うには難易度高いことを言われた気がするんだけど、茶化されたんだろうか……。本当だとしたら嬉しいけど竹原くんは恥ずかしくないのかな……、
あ。
「……竹原くんって、もしかしてフェチ?」
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