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「ところで日登、お前はどうして一人で歩いていたんだ?」
「お化けや怪物っていつも孤独だろう? だから吸血鬼の僕もまた孤独なのさ」
よく分からない自論だ。映画などの創作物で描かれている怪物は確かに孤独ではあるが、仮装した人間そのものには関係ない気もする。
「お祭りの夜に一人とはお前も寂しい男だ」
「その言葉は君にも返ってくるって気付いているのかい」
軽口を叩きながら目的地もなくただ歩く。そうしていると本当にお腹が減ってきた。何処かでご飯を食べようと日登に提案すると、「それならいいところがある」と率先して私の少し前を歩き始めた。
「人の多い場所は嫌だからな。特にハロウィンパーティーで騒がしい場所とかな」
「友達の僕をもう少し信頼してくれないかなぁ。君の事は分かっているつもりだよ」
「怪物は孤独なんじゃないのか? 友達なんていていいのかよ」
「昔から怪物と人間はセットでしょ。僕は怪物で君は人間だからセーフ。怪物同士はアウトだね」
やはり日登の自論は理解しがたい。
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