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 そしてとうとう寛治の最後の試合の日がやってきた。私の人生最期の日でもある。  一緒に試合を見に行く友達との待ち合わせのため、駅へ向かっている途中、ストーカーの彼に見つかる。必死に彼から逃げ、球場近くの5階建てのビルの屋上に逃げ込んだ。試合が見て取れる立地に少しばかり満足する。本当は近くで見たかったが、これも私の望む未来のためだ。  座る位置を決めた頃、寛治から着信が入った。まだだ。まだ出てはいけない。電話を折り返したのは試合開始直前。このタイミングにしないと寛治が迎えに来てしまう。  電話でストーカーに追われてる旨、今いる場所を伝え、ミーティングが終わったら迎えに来て貰うようにお願いした。降りてこいと言われるが拒む。私が頑固なのを知っているからか、何とか承諾してくれた。
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