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 私は電話に出た。苛立ちを抑えられない声。どこにいるんだ。乱暴に言葉を叩きつけてくる。近くまでは来ているんだ。観念しろ。  無言で私は電話を切る。試合の続きを見たかったが、反対側に移動しなけらばならない。彼は近くの建物を片っ端から探す。その彼に屋上にいる私の姿を見つけさせるためだ。  やがて屋上に彼が姿を現す。怒っているかと思ったが、案外優しい表情をしていた。やはり目は笑っていない。手にはナイフ。 「やっと見つけた。さぁ、おいで」  背筋が凍るような眼差し。
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