76人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
「こっちに来ないで」
彼との距離を取りつつ、寛治の到着を待つ。
試合は既に終わっているはずだ。とっくに声援は途絶えている。
彼と押し問答を繰り返す。焦ってはいけない。確認した通りやればタイミングはピタリと一致するはず。
やがて寛治が屋上に姿を現した。間に合った。
「来ちゃダメ!!」
そう叫ぶ。
寛治の方を向いた彼の顔に敵意がこもっていた。ナイフを手に、一歩一歩寛治に近づいていく。彼は寛治が私の彼氏だと勘違いしている。私がいつも寛治の隣にいたことは、ここにも作用している。
最初のコメントを投稿しよう!