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「こっちに来ないで」  彼との距離を取りつつ、寛治の到着を待つ。  試合は既に終わっているはずだ。とっくに声援は途絶えている。  彼と押し問答を繰り返す。焦ってはいけない。確認した通りやればタイミングはピタリと一致するはず。  やがて寛治が屋上に姿を現した。間に合った。 「来ちゃダメ!!」  そう叫ぶ。  寛治の方を向いた彼の顔に敵意がこもっていた。ナイフを手に、一歩一歩寛治に近づいていく。彼は寛治が私の彼氏だと勘違いしている。私がいつも寛治の隣にいたことは、ここにも作用している。
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