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そのとき、 有線からなのかCDなのか、 琵琶のような楽器を駆使した、 なんともオリエンタル・テイストな音楽が、 ぼくとレイコさんを囃し立てるように、 店内に流れ出した。 いや、 店に入ったときから、 ずっと流れていたのに、 ぼくが気づかなかっただけかもしれない。 歌詞はまるで経文のように切れ目のない言葉の連なりで構成されて、 どこでどう意味のまとまりを為すのか、 いくら耳をそばだててもわからない。 「バナーラスでの宿は、 ガンガーの近くにお取りしてございます」とアマー氏は言った。 ガンジス川のことだよ、 とぼくはレイコさんに説明する。
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